高い技術力と専門的なエビデンスを基盤に
美と健康づくりに60年の実績五洲薬品株式会社 副社長 藤井 侃

海洋深層水の基礎研究用のパパイヤ畑。約3000坪ある農園に植えられている。普通の水と海洋深層水との生育の違いなどを実験中。
富山の「置き薬」は、常備薬をセットした薬箱を全国の一般家庭に配置する、300年余りの伝統を持つ日本独自のシステムです。五洲薬品は置き薬と一般医薬品のメーカーとして、昭和22年に創業されました。藤井副社長の父である現社長が、薬問屋に勤めた後に独立して起業したもので、会社の歴史は60年を超えています。
社長は重い病気から生還した青年期の体験から、「生命の根源は太陽と水と緑である」と悟り、それを事業の基本理念に据えました。現在は、美と健康づくりをテーマに、水・健康食品・入浴剤の3つを柱とする事業を展開しています。
昭和30年、入浴剤「桃源」を業界の先駆けとして製造販売。42年には、パパイン(パパイヤに含まれる酵素)を配合。今や酵素入りの入浴剤や洗たく洗剤は当たり前ですが、当時は画期的なことでした。

工場や施設はミネラル豊富な地下水ある土地に
また、昭和34年には、健康食品の生産をスタートさせます。ビタミン・ミネラル・天然ゲルマニウムなど各種の製品を発売。いち早く、1日に必要な各種ビタミンの粒をパック詰めしたものを製品化しました。
さらに昭和52年、ミネラルウォーターの生産を開始。まだ水が、今のように年間1400億円という大市場になるなど、誰も予想しない時期でした。昔から名水で知られた先祖伝来の土地に工場を建て、地下300mの水源から、北アルプス・立山連峰の伏流水を汲み上げています。分析すると温泉水であることがわかり、温泉の許可を受けた稀少なミネラル水を提供しています。
大学で薬学を学んだ藤井副社長が入社したのは、会社が健康食品の事業を本格的に始めたころでした。最初に取り組んだのは、北海道から沖縄まで全国の薬局をまわって顧客を開拓すること。そのとき肌で感じたのが、時流にそった商品開発とエビデンス(科学的医学的な根拠)の大切さでした。客観的にテストされた製品の有効性が、顧客の信頼を得るために不可欠である――これは時代の流れだ、と強く感じたそうです。
社長から学んだことは?
「根っからのアイディアマンで、90歳の今でも、年がら年中、新しい企画を考えています。いつも、『人のマネをするな、世にないモノを作れ。リスクはあるが、そこにうちの存在価値があるし、競争力も生まれる』と言われてきました」
この姿勢を現場に生かして、従業員の1割強を商品開発と品質管理部門に配置しています。会社のポリシーは、時代のニーズに見合った製品を、ナチュラルな素材だけを使い、しかもエビデンスを確保して作っていくことです。
「富山大学医学部などの研究機関とコラボレートして、しっかりしたエビデンスを作成しています。長い時間と費用がかかるのでなかなか大変です。でも顧客に納得していただくために欠かせませんから、これからも積極的に行っていきます」

多段式イオン交換電気透析装置。海洋深層水を各ミネラルのイオン特性を利用して、淡水・ミネラル濃縮液・農塩水に分ける装置で、装置メーカーの協力を得て独自に開発した。
昭和の終わりから、海洋深層水など海洋資源の有効利用の研究が、国に指定された3県(富山県・高知県・沖縄県)で進められてきました。平成8年、五洲薬品は、富山県と水源地の滑川市と海洋深層水の共同研究をスタート。12年には、深層水の安全性を確かめています。
その後の研究で、独自の技術を開発し、深層水を@淡水、Aミネラル濃縮液、B濃塩水の3つに分けることに成功。@は飲料水、Aは医療向けの製品に生かし、Bからは塩とにがりを生産しています。海洋深層水の研究成果は、新製品の誕生と同時に、従来の製品にも付加価値をもたらしました。

キレアウォーター。水感覚では初めて許可された特定保険用食品。「乳果オリゴ糖配合飲料が女子学生の便通および糞便菌叢に及ぼす影響」などのエビデンスを得ている。
代表的な新製品が、北アルプスの天然水と富山の海洋深層水に、乳果オリゴ糖をプラスした「キレアウォーター」。腸内環境を改善し、便通を良好にすることが認められて、水感覚では初めての特定保健用食品の許可を取得しました。
「海洋深層水は飲用に限らず、多方面で使えそうです。例えば移植用の臓器の保存。研究の結果、海洋深層水由来の保存液の方が、従来の生理食塩水より優れていることがわかりました。いろんな医療用製品の開発が期待できます。
会社が“還暦”を迎えることができ、新たな商品開発が可能な理由は、富山という地の利があるからです」
恵まれた自然と豊かな地域資源、北アルプスのミネラル水と富山湾の海洋深層水、そして伝統の薬の技術。この3つを持ち合わせているのが強みです。

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